心房細動と脳梗塞

2005年1月23日

長嶋前巨人軍監督が心房細動から脳梗塞になったのは記憶に新しいところです。じゃあ心房細動ってなに?ということですが、まずは心臓の解剖からご説明します。心臓は四つのお部屋からできていて、上のお部屋を心房、下のお部屋を心室といいます。それぞれ右、左があるので四つということになるわけです。全身に血液を送り出すのは左心室、肺に血液を送り出すのは右心室と実際におもな仕事をしているのは心室のほうです。心房のほうはというと、左心房は左心室へ、右心房は右心室へと心臓のなかで隣のお部屋に血液を移動させているだけで、それほどの仕事はしていないのです。

心房細動とはこの心臓の上のお部屋が一分間に約600回ぴくぴくふるえてしまう状態で、こうなると心房に血液がよどんでしまい血液の塊(血栓)ができやすくなってしまうのです。この血栓がはがれて流れて行き、脳の血管に詰まってしまうことにより脳梗塞になってしまうのです。

心房細動になると正常な脈のときよりも2割ほど心機能が低下します。(脈がうんと速くなればもっと低下します。だから脈の速さをコントロールするのは重要です。)もともと心機能の悪い方であれば2割の低下でも問題となりますが、心機能がそれほど悪くない方にとっては脳梗塞の予防のほうがより重要となります。

心房細動にはずっと心房細動が続いている慢性心房細動とときどき心房細動の発作を起こす発作性心房細動がありますが、脳梗塞をおこす危険はどちらも同じです。

では脳梗塞の予防はどうすればいいのか?ですが、アスピリン(商品名:バイアスピリン、バファリン81)やチクロピジン(商品名:パナルジン)も使われますが、この2剤は心房細動による脳梗塞を予防するというデータは得られていません。心房細動による脳梗塞の予防にはっきりしたデータをもっているのはワーファリンのみです。飲み方にもよりますがきちんとワーファリンを服用すれば脳梗塞の発症は1/3まで減らすことができます。すなわち2/3の方は脳梗塞にならずに済むのです。

納豆が食べられない、毎月採血しなければならないなどやや面倒なところはありますが、医師にワーファリンが必要だといわれた方は自己の判断で中止することなく是非服用を続けてください。

最近の心房細動に関する話題
2002年にAFFIRM試験というものが報告されました。これは薬を使ってなるべく普通の脈を保つグループと心房細動は無理になおそうとせず脈の速さをコントロールしかつワーファリンによる治療を行ったグループを比較したものです。この報告によると後者のほうがやや有利という結果が出ています。
専門家の間でも意見の分かれるところではありますが、少なくとも不整脈を止める薬を使いすぎるのは避けるべきでしょう。

 

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