上の血圧と下の血圧の差は大きいほうが良いのか?小さいほうが良いのか?

2006年2月23日

まず上の血圧(=収縮期血圧)と下の血圧(=拡張期血圧)の差を脈圧といいます。一概にはいえないが、一般的には脈圧は小さいほうが良い、つまり例外もあるが、上の血圧と下の血圧の差は小さいほうが良い、が答えです。脈圧が65をこえるとあきらかに動脈硬化性の疾患が増えるというデータもあります。

ただし脈圧さえ低ければ高血圧の管理がいらないというわけではありません。ここで上の血圧と下の血圧とはなんなのか解説します。
上の血圧は左心室という全身に血液を送り出す部屋が収縮し、一回約70mlの血液を送り出しますが、この動脈内に一気にふえた血液によって作り出される圧力のピーク値を腕の動脈で測定した値です。

一方下の血圧はというと、左心室は収縮した後血液をためるために拡張します。このときせっかく全身に送り出した血液が再び左心室に戻ってこないように、左心室と大動脈(全身に血液を送り出す血管の最も太い部分)との間にある大動脈弁というある一定の方向にだけ血液を送り出す装置が閉じて大動脈から左心室のほうへ血液が逆流するのをふせいでいます。このとき左心室から血液は送り出されていないのですが、太い(中枢の)動脈から細い(抹消の)動脈のほうへ血液は流れ続けます。

これは何故でしょう?それは左心室が収縮して勢いよく血液を送り出すとき、大動脈やそこから枝分かれした太いレベルの血管が圧力によって太くなりますが、大動脈弁が閉じた後は新しい血液の供給がなくなるのでだんだんもとの太さに戻ろうとします。これが拡張期でも中枢から抹消へ血液を送り続ける圧、すなわち下の血圧を維持する原動力なのです。血管が柔らかければ太いレベルの動脈の太くなり方も大きくなりますから、下の血圧も維持されやすいのです。
また血管が柔らかいと収縮期に左心室から送り出される血液を太いレベルの血管が拡がることによってクッションのように受け止めますから上の血圧のピークも抑えられます。

要するに脈圧が小さいということは、血管が柔らかく動脈硬化がすすんでいないことを現し、脈圧が大きいということは動脈硬化がある程度すすんでしまったことを現しているのです。そこで脈圧は一般的には小さいほうが良いという答えになるわけです。ただしこれは現時点での動脈硬化に関しての答えであり、将来のことは考えない条件下での答えで例外もあります。

今後動脈硬化がすすむかどうかの最も大きなファクターは平均血圧です。平均血圧の求め方は(詳しい説明は省略します)拡張期血圧+(収縮期血圧-拡張期血圧)/3で計算されます。たとえば160/100の人の平均血圧は120、180/60の人の平均血圧は100となります。お分かりのように平均血圧は下の血圧に近いのです。もうすこし正確ないいかたをすれば平均血圧への寄与は下の血圧のほうが上の血圧よりも大きいということになります。

脈圧の小さい方は上の血圧がさほどでなくても下の血圧が高い場合があり、この時平均血圧も高くなりやすく治療が必要となることがあります。この場合は脈圧が小さくて不利になっているともいえますね。もうひとつだけ例外をあげると、高度な心不全の場合心臓が勢いよく血液を送り出せないため上の血圧があがらず脈圧が小さい、などということもあります。まとめると、

1、 脈圧が大きい人:ある程度動脈硬化がすすんでしまっている。上の血圧を目安に治療。
2、 脈圧が小さい人:まだ血管は柔らかい。ですが、平均血圧(下の血圧)が高ければ今後の動脈硬化の進展予防のため下の血圧を目安に治療。
ということになります。

 

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