尿酸ってなんだかご存知でしょうか?すこし健康に関心のある方は、ああ、高くなると痛風になるんだよね、とかビールがよくないんだよな、etcは聞いたことがあるかと思います。ただし尿酸のもつ意味はそれだけではないのです。今回は高尿酸血症、痛風について解説します。

 まず尿酸とはなにか?ですが、尿酸はからだの新陳代謝やエネルギー消費によってできる老廃物の一種です。尿酸になる前の姿は、遺伝子(DNA)などの一部の「プリン体」という物質で、私たちの体内の細胞や食品中に含まれています。細胞は毎日、新陳代謝を繰り返していますから、尿酸はいつも産生されています。産生された尿酸は腎臓から排泄されます。

 ここで尿酸が高くなる原因として1、尿酸の産生量が多い、2、腎臓から尿酸の排泄が悪い、3、産生も多いし排泄も悪いのと両方が関係する、の3つが考えられます。最も多い原因は2の排泄低下型で6割程度、残りが1、3の生産過剰か両方が関与するタイプです。

 尿酸の値が7mg/dlまでなら、尿酸は血液に溶けていて悪さをしません。しかし7mg/dlを超えると溶けきらずに結晶となり、からだの主に関節に蓄積されます。そこで炎症が起こると「風が吹いても痛い」、「痛風」発作(正式には痛風性関節炎)になります。最も多い部位は足の親指の付け根です。あなたがもし尿酸が高いといわれていて、足の親指の付け根が真っ赤に腫れ上がって激しい痛みにおそわれたら、多分それは「痛風」でしょう。

 痛風以外の高尿酸血症の合併症として
1、 腎機能障害
 尿酸の結晶が腎臓の中に溜まって、腎臓の働きが低下します。腎臓の働きが悪くなると尿酸の排泄がますます悪くなり、さらに尿酸が高くなるという悪循環を生じます。
2、 尿路結石
 尿酸値が高い人では尿が酸性になっている場合が多く、尿が酸性であると、尿の中にさまざまな結晶が形成されやすく、腎臓や尿管、膀胱、尿道に結石が出来やすいとされています。
3、 動脈硬化
 以前から高血圧に高尿酸血症が合併すると動脈硬化が進行しやすいことがわかっていましたが、近年高尿酸血症単独でも動脈硬化を進めるとの報告がなされています。(難しく言うと、高尿酸血症は動脈硬化の独立した危険因子である、と言います。)

 高尿酸血症の治療は生活習慣の改善と薬物療法です。生活習慣の改善の第一は体重のコントロール、第二がアルコールを控えることです。その他野菜などのアルカリ食品を食べる、水分を十分とる、適度な運動、プリン体の多い食品(レバーなど)を控えることなどがあげられます。

 尿酸の値が9mg/dlを超えたら生活習慣の改善のみではなく薬物療法が必要になります。8mg/dl以上のときは合併症(高血圧など)の有無により薬物療法が考慮されます。7~8mg/dlの場合は痛風の既往がなければ、通常生活習慣の改善で経過を見ます。目指す尿酸の値は6mg/dl以下です。

 高尿酸血症は痛風の原因になるのみならず、腎機能障害や動脈硬化の原因にもなることがわかってきました。これからは、血液検査の結果をわたされたら、コレステロールの値と同様、尿酸(UAと書いてあることもあります。)の値にも気を配って下さい。