米国のアトキンス氏が最初でしょうか?このタイトルの書籍が多数出版されていますね。実際に買って読んでいる人、実践している人も多いのではないでしょうか?これらのことは医学的に(科学的に)どこまで解明されていて、どこまで信用できるのでしょうか?つい最近これに関する論文がJAMAという有名な医学雑誌に載ったので紹介します。

 ダイエット法として低脂肪ダイエットと低炭水化物ダイエットが代表的ですが、これまで行われた試験の結果は低脂肪のほうが効果的であるとか、低炭水化物のほうが効果的であるとか、どちらも変わらないとかさまざまでした。米国のEbbeling医師らはインスリン分泌の多い少ないでどちらのダイエットが有効かをしらべました。

 対象:若い肥満者73例、年齢は18~35歳
 食事療法:低炭水化物ダイエット(炭水化物40%、脂肪35%)の人たちと、低脂肪ダイエット(炭水化物55%、脂肪20%)の人たちにアットランダムに振り分けられた。
 結果比較:全体としては低脂肪ダイエットも低炭水化物ダイエットも体重減少に差は認められなかった。しかし75gブドウ糖負荷試験の30分でのインスリンが高値だった人たち(28人)では、低炭水化物ダイエットのほうが低脂肪ダイエットより、減量(5.8kg対1.2kg)においても体脂肪率の減少(2.6%対0.9%)においても有効であった。善玉コレステロール(HDL-C)、と中性脂肪(TG)は低炭水化物ダイエットでより改善し、悪玉コレステロール(LDL-C)は低脂肪ダイエットでより改善した。
 結論:75gブドウ糖負荷試験の30分でのインスリンが高値の肥満者では、低脂肪ダイエットより低炭水化物ダイエットのほうが、体重や体脂肪の減少には効果的と考えられる。低炭水化物ダイエットは善玉コレステロール(HDL-C)および中性脂肪(TG)の改善により有効で、低脂肪ダイエットは悪玉コレステロール(LDL-C)の改善により有効である。

 これはどう考えればよいのでしょう。インスリンは血糖を下げるホルモンですが、どういう機序で血糖を下げるかというと、血管の中のブドウ糖を細胞の中に送り込むことによって血糖を下げているのです。別の見方をするとインスリンは細胞にブドウ糖という栄養を送り込み細胞を太らせるホルモンなのです。

 炭水化物は脂肪よりインスリン分泌を、より刺激することが知られています。そこでインスリン分泌の多い人たちでは、炭水化物の摂取を押さえることでインスリン分泌が抑えられ、その結果肥満が解消されると考えられるのです。

 やはり低炭水化物ダイエットは有効なんだと喜んでいる方、よ~く読んでください。インスリンが高値の肥満者で有効なんですよ。それから炭水化物は一切摂らないというダイエットをしていませんか?ごはんを全く抜いてしまうようなダイエットは栄養学的に、やはり薦められません。ここで行われている低炭水化物ダイエットは、炭水化物40%、脂肪35%です。低炭水化物ダイエットとはいっても全体のカロリーの40%は炭水化物なんですね。

 これから75gブドウ糖負荷試験の結果でダイエットの仕方が変わってくる時代になるかもしれません。