たばこ吸いにとっては肩身の狭い時代になりましたね。嫌煙権なんて言葉が使われ始めたころ「なにを神経質なことを言ってる、吸ってる俺のほうがよっぽど体に悪いにきまってるだろ」なんて思ったことはありませんか?最近ではほとんどの公共施設、交通機関では禁煙になってきてますよね。またレストランの喫煙席はたいてい窓から遠いトイレの前なんてことが多いですね。

 それからよくいる「真面目な禁煙支援者」の使う論理にこんなのがありますね。「たばこによってがんや心筋梗塞が増える、そのために増える医療費は日本では5000億円以上である。あなたがた喫煙者は社会に莫大な損失を与えているのですよ。」本当にそうでしょうか?人間いつかは病気(老衰を除いて)になって死んでいきます。喫煙者は病気になる時期が早まるだけではないでしょうか?喫煙者は寿命が短い分だけ一生の間に使う総医療費は少ないのではないでしょうか?そのうえ喫煙者はたばこ税を払っているし、寿命が短い分だけもらう年金の総額だって少ない、非喫煙者に感謝されたっていいぐらいだ、と思ったことはありませんか?

 嫌煙権に関しては非喫煙者の言い分が正しいことが科学的に立証されています。総医療費に関してはどうでしょう、はっきりしたデータはありませんが、喫煙者の言い分に分があるような気がします。

 最近アメリカでは喫煙者を採用しない企業が増えてきました。じぶんで煙を吸って「自殺」するのはかってだが、他人に煙を吸わせて「人殺し」をするのは許さんという論理です。アメリカの保険会社ではずいぶん前から喫煙者の保険料を高く設定しています。また高級ホテルで喫煙者というと変な顔をされたうえ小屋裏部屋に案内されます。これは7~8年前わたしが実際にワシントンで経験しました。要するにアメリカで喫煙者は軽蔑の対象になっているのです。日本人はアメリカ人より「寛容」な民族ですからまだそこまでにはなっていませんが、いずれ喫煙者が軽蔑の対象になる時代がくるでしょう。

 たばこがご自身の健康にとって有害なのはもちろんのこと、ご家族の健康にも有害なのは紛れもない事実です。それから部屋や車にやにがつく、手ぶらで出かけたいのにライターとたばこを持ち歩かなければならない、税金を他人より余分に払っているのに受け取る年金は少ない、そのうえ非喫煙者に軽蔑されるなんて間尺に合わないですよね。愛煙家のみなさん、もうそろそろ潮時です。きっぱり禁煙しましょう。

 でも俺は意思が弱いからやめられないよというあなた、たばこがやめられないのは意思が弱いからではなく「ニコチン依存症」という病気だからなのです。みなさんが肺炎になったらレントゲンを撮り、抗生物質投与などの治療を受けるでしょう。「意思」で肺炎は治りませんよね。「ニコチン依存症」でも同じです。問診などで現在の病状を把握し、適切な治療をすれば、自己流では10%程度の禁煙成功率が50~80%まで上昇するのです。

 この4月、日本でも「ニコチン依存症」を病気と認め保険診療が出来るようになりました。タバコをやめたいけど自信がないという方、ぜひ御気軽に相談なさってください。