脂肪肝なんてたいしたことない?

2006年3月23日

検診をうけたとき、かなりの人が肝機能障害を指摘されると思います。その大部分のひとが脂肪肝と診断され、指摘を受けても「脂肪肝ならたいしたことないや」と思って放っておくことが多いのではないでしょか?

 確かに脂肪肝の多くは良性で、あまり進行せず肝硬変にはなりません。しかし近年、非アルコール性脂肪肝炎(NASH=Nonalcoholic Steatohepatitis)という病態があることが分かってきました。NASHは脂肪肝の約10%にみとめられ、放置しておくと徐々に進行し、肝硬変にまでなってしまう怖い病気です。

 確実に診断をつけるには肝生検といって肝臓の組織の一部を採取し、顕微鏡で見てみるしかないのですが、肝生検は痛いし、入院が必要となるのですべての脂肪肝の人に行うのは現実的ではありません。そこで脂肪肝の患者さんのなかでNASHになりやすい人は経過をがっちり見ていく必要があるのです。

 それではどんな人がNASHになりやすいのでしょうか?一般に以下のことがNASHの危険因子といわれています。
1、 肥満あるいは肥満傾向のある人。BMI【体重(kg)÷身長(m)の2乗】でいえば23以上の人。

2、 以前ここでも書いたメタボリックシンドロームを合併している人。

3、 インシュリン抵抗性の高い人。インシュリン抵抗性とはインシュリンがでてもなかなか血糖が下がりづらい体質のことです。糖尿病でない人では空腹時のインシュリン値が10μU/ml以上ある場合です。このことについて少し解説しますと、糖尿病ではないのだから大雑把にいって空腹時の血糖はだれでも100と仮定します。このとき10μU/mlのインシュリンでなければ100まで血糖が下がらない人は、5μU/mlで100の血糖を維持出来るひとより血糖が下がりづらい体質であるといえるため、空腹時のインシュリン値でおおまかなインシュリン抵抗性を知ることが出来るのです。
上の3点を合併している脂肪肝の人はNASHになりやすいので慎重に肝機能の経過をみていくことが必要となります。また場合によっては肝生検が必要になることもあります。

 最後に治療についてですが、これが簡単といえば簡単ですが、難しいといえばこれほど難しいことも少ないといえます。特殊な病態のNASHにたいしては薬物療法も必要ですが、ほとんどの場合減量しさえすればNASHの進行は抑えられるのです。どれくらいの減量が必要かといえば体重の5%といわれています。つまり60kgの人なら3kgやせれば良いということになります。これはあなたにとって簡単なことでしょうか?難しいことでしょうか?難しいと感じる方もNASHのことを知ったからには頑張ってみるしかないですよね?

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