早期発見、早期治療

2006年10月23日

いままでここでは主に心臓血管系のおはなしをしてきました。確かに日本人において、心臓血管系の病気は重要で、脳卒中を含めるとおよそ3割の方が心臓血管系の病気で命をおとしているといわれています。また、日本人の死因の第一位はがん、第二位は心臓病、第三位が脳卒中まではよく知られていますが、第四位が肺炎であるという事実はあまり知られていません。若く、とくべつな持病を持たない方がいきなり肺炎になって亡くなるということは滅多にありません。脳卒中から寝たきりになり肺炎になるのはよくあるケースです。この場合脳卒中が肺炎の原因になっていたとしても統計上の死因は肺炎となり、脳卒中の病名は隠れてしまいます。ですから脳卒中は統計上の数値以上に死因に関与していると考えてよく、心臓血管系の病気で命を落とされる方は、3割をかなり超えていると思われます。

 一方日本人のおよそ1/3の方が、がんで亡くなっているのも事実です。心臓血管系の病気はいままで何度もお話してきたように、高血圧や糖尿病の治療、コレステロールを下げることなどによって予防可能な病気です。しかしがんの予防にこれといった決め手はありません。運動をするとかストレスをためないとか肥満の解消などの生活習慣の改善が多少がんを減らすとの報告もありますが、がん予防の決め手にはなりません。明らかにがんを減らすのは禁煙くらいでしょうか。それでは非喫煙者はどうしたらいいのでしょう?にんにくを食べてもお茶をたくさん飲んでもがんを減らすというデータは残念ながらでていません。

 例外もありますが、がん治療の基本は早期に発見し手術で取り除くことです。症状がでてから受診しても早期がんで、根治治療が可能な場合もありますが、できれば症状が出る前検診で発見できればさらに根治治療が出来る可能性が高くなります。がんは一昔前と違い、早期に発見すれば助かる病気です。そう、がんは早期発見、早期治療が大事なのです。なかにはがんが見つかったら恐いと検診を受けたがらない方がいます。とんでもない思い違いです。症状が出る前に発見できれば大部分のがんは根治可能なのですから。

 がんは臓器の数だけあるといってもいいぐらいたくさんの種類があります。それではどんながんの検診を受ければいいのでしょう。日本人の死因として多いのが、肺がん、胃がん、大腸がん、です。それから発症率の多いがんとして女性の場合乳がん、子宮がん、男性の場合前立腺がんがあります。そこである一定の年齢になったら女性の場合、肺がん、胃がん、大腸がん、乳がん、子宮がん検診、男性の場合肺がん、胃がん、大腸がん、前立腺がん検診を受けるのが一般的です。

 がん検診でおこなわれる検査としては診察所見をのぞき、大きく分けて3つです。1、胃カメラ、大腸ファイバーなどの内視鏡検査、2、がん細胞から血液中に分泌される物質を採血検査で測定する「腫瘍マーカー」3、X線撮影、CT、MRI、エコー、PET、などの画像診断、です。一時PETがどんながんでも見つけられるとの誤解をうけましたが、どの検査にも得意、不得意があります。たとえば胃がんであればPETより胃カメラが有用であり、前立腺がんの場合腫瘍マーカー(PSA測定)の方がPETより有用です。しかし肺がんや膵臓がんの一部ではPETでなければ発見できないものもあるのです。がん検診においては前述の検査の得意不得意をよく理解し、うまく組み合わせて施行すればよいのです。

 前橋市のさわやか検診のがん検診は感心するぐらいよくできています。一般的にはこの検診を受け、それでも安心できないかたは、腹部エコー、PET/CT(PETとCTをくみあわせた検査)を追加するとよいでしょう。

 最後に確認の一言、がん治療の基本は早期発見、早期治療です。どんなかたちでもいいから一定の年齢になったらがん検診を受け、早期発見を心がけてください。

 

コメントをどうぞ

CAPTCHA